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『クズの本懐』8巻 レビュー:最終話はハッピーエンドではないけど前向きな終わり方

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横槍メンゴによる漫画「クズの本懐」8巻が発売されました。
最終回を含む最終巻である8巻はイラスト集付きの初回限定特装版を買いました(イラスト集レビュー記事参照)。
クズの本懐8巻

音楽教師である茜先生。清楚な出で立ちとは裏腹に男子依存症で、一夜限りの関係を多数もつ女性。
その茜に片想いの生徒の麦さえも、SEXしたい時に呼び出し関係をもつ。
クズの本懐8巻は、そんな二人のベッドシーンから始まる。

ヒロイン花火のクラスの担任であり、幼い頃からの付き合いでお兄ちゃんとしたい、そして片想いの相手でもある鳴海先生。
厄介なことにその鳴海先生の想い人は茜だった。
積極的にアプローチをはじめた矢先、複数の男と関係を持っていると告知、やめるつもりがないと言われてもなおアプローチを続ける鳴海。
挙句の果てにそんな男遊びもやめなくていいという、理解不能な発言をする。

ありえない返答に戸惑う茜。
試しに麦に他の人と茜が寝るの嫌かどうかをたずねる。
当然のごとく「嫌」との答え。
通常の反応を確認したいためとはいえ、普通こういうのきくかな?という理解しがたい関係の会話が本編全編を通して続くのがクズの本懐ですけど・・・

麦は自分が本当に欲しい言葉は、本当に欲しい相手からは絶対にもらえない。
だから花火と徒党を組んだ。
優越感が欲しくて・・・

麦と一夜を明かした翌日、茜は鳴海と熱海へ一泊旅行へ、関係をはっきりさせる旅にでる。
旅館で、再度男好きをやめなくていいという意図を鳴海に問う。

好きでやっているならやめなくていい。
寛大なのか異常なのかよくわかりません。

しまいには「結婚してください」とプロポーズをする。

「いいけど」と、あっさりとプロポーズをOKする茜。
ただし浮気する前提でって、子供がもしできても誰の子かわからなくなっちゃうとか、心配しないのかな?

茜は麦に結婚をすることを告げる。
麦はなぜ男好きな茜を好きでいつづけていたのか、その答えをみつける。

男依存を変えたいという願望ではなく、そんな今のままの茜が好きだったのだと気づく。
こうして麦の片想いは幕を閉じる。

8巻の半分まで出番なしのヒロイン花火。
その花火の片想いもあっさりと幕を下ろす。
「式にきてくれるかな?」と、失恋した花火には酷なセリフ。
「当たり前じゃん」と笑顔で返しつつも心中穏やかじゃないだろう。

花火と麦のどちらも恋は成就せず終了。
それとともに二人の不思議な関係の契約も終わり、ひとりぼっちに戻ってしまった花火。
今までやってきたことは全てムダだったのか?
その自問自答が続く。

フリーとなった花火に近寄る男たち。
困っているのを見かねた早苗が「花火は私んだから」と男たちを追い払う。
ロングヘアーをばっさりカットしてショートにしてしまってました。
時間はかかったけど、ようやく友達に戻れたようで、最後にきて唯一の救いの場面でした。

そして教室では生徒からお祝い。

茜から花火に意地悪そうな笑みをうかべてのブーケトス。

「次は盗られちゃ駄目よ」と勝者から余裕のアドバイス。

花火と麦の偽りの恋人は終わったが、心の底ではお互いに想いを寄せ始めていた。

心に空いた穴を埋め、救われたい一心ではじめた契約。
救われなかったが、それでもいいと思えるようになった。

受け入れて欲しい、受け入れたい、最後に抱きしめ合う中、心の葛藤が読んでいて痛い。

卒業をして、本物を探すため、花火と麦の関係は完全に終わる。

一見バッドエンドに見える終わり方でしたが、あのまま恋が成就しても後々歪みが生じるような気もする。
そう思えば、スパッと関係を断ち切って、前向きに進む姿を見せた二人の姿を描写しているので、クズの本懐としてはハッピーエンドなのだろうと思った。

そして、終わりとおもいきや、「クズの本懐 番外編」が月刊ビッグガンガンにて連載が決定しました。
連載開始時期や内容はわかりませんが、卒業後の関係を描かれるのか、それとも視点を変えたアナザーストーリーなのか、横槍メンゴ先生の漫画から引き続き目が離せません。

出演:安済知佳, 出演:島崎信長, 出演:戸松遥, 出演:井澤詩織, 出演:野島健児, 出演:豊崎愛生, デザイン:黒澤桂子, 監督:安藤正臣, 原名:横槍メンゴ, その他:Lerche
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