十三木 考氏のウェブ漫画『トラップヒロイン』の第28話(後編)についてネタバレありの感想記事です。
- 作品名:トラップヒロイン
- 作者:十三木 考
- 紹介話数:第28話(後編)
- 掲載アプリ:マンガワン
- 公開日:2020年9月6日
トラップヒロインの2020年9月6日に無料漫画アプリ「マンガワン」に公開された第28話(後編)の最新話ネタバレ感想レビューをお届けします。
トラップヒロイン あらすじ
主人公「千路田 耐志(ちろだ たいし)」は高校入学式の朝、見た目は美少女、実は自称・男の娘の「小日向 真(こひなた まこと)」と出会う。
セーラー服を着るその姿は見様見真似無く女子高生。すらっとか細い手足に女子のような声と仕草。
しかし自己紹介で性別は男だとカミングアウトして、クラスを騒然とさせる。
そんな男の娘と同室となり、ルームメイトとして学校はもとより、生活も一緒に送っていくうちにお互いに惹かれあう。
トラップヒロイン 第28話(後編)ネタバレ感想
学園祭の出し物として舞台をやることとなった。
ヒロインのジュリエット役に小日向。ロミオ役には小日向に好意を寄せる神宮寺が選ばれた。
そこに関係をこじらせていた千路田も手を挙げる。
そこでロミオ役オーディションが行われることになった。
千路田の番になると小日向は役そっちのけで、本当の気持ちをたずねる。
「女の子のふりして騙して楽しんでたんだよ」と言い放つ。
初めて会ったときから男相手に、女の子っぽくあざとくしていたのに、顔を赤くして、騙される姿を見て楽しんでいた。
冷たくあしらうことで千路田の好きという感情を断ち切らせようと必死なのが伝わってくる。
女性が好きな千路田。そんな彼が、同性の自分に好意を寄せることが異常だと、おかしなことだと感じている。だからこそ嫌われることでおかしな関係に終止符を打とうと演じているように思える。
「楽しくて」その言葉に続いて出てきたのは「嬉しかった」。
ずっとダメって、やめて普通にしなくてはいけないという葛藤をずっともっていた。
自分を最低な奴だと決め、勘違いで生まれたこの関係を無かったものにしようとする。
小日向にとって、今までの思い出は女性としてのもの。
だからこれから男友達として関係を戻した場合、二人の間には何も残っていない。
それでも、楽しかった、ドキドキした、ちょっとむかついた、騙されて勘違いだったとしても。
今までの全部があって思い出。すべてが関係して今がある。だからこそ男だとか女だとか関係ないなんて言うことはできない。
好きという気持ち、そして告白。
そのすべては大事な思い出の一つのはずだから、告白の返事を教えてほしい。
小日向が男だからこそ、ここまで仲良くなることができたことは事実。
お互いに演じていた、思い込んでいた性別は無視することができない大きなこと。
だからもう元には戻れないだろうけど、それでも願う、いつかまたと。
二人の指が触れた時、小日向の感情が爆発する。涙がとまらない。
本当に楽しかった。できることなら以前のように戻りたい。遊びたい。仲良くしていたい。
こんなこと言える立場ではないのを承知で、ずっとこのまま大人になっても、そして「いつか普通に・・・」
言葉の続きは普通の男性な姿になってもだろうか?
「男であるという確かな実感」で小日向が男性であると確証されたと思って間違いないのだろうか。
「男同士仲良くやろうぜ」男らしく手を握り仲直りした二人。
男女の恋愛の好きから、男友達としての好きへ、簡単に切り替えることはできないだろう。
それでも今までの思い出に嘘偽りはない。
男の娘漫画で、これほどまでに切なく、胸が苦しくなるような展開があるとは当初思いもしませんでした。
次回、第29話は9月20日にマンガワンのアプリにて公開予定です。
コミックは第3巻まで発売中です。