しめさば氏によるライトノベル『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』のコミカライズ第2巻が発売されましたのでレビューです。
漫画『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』は、原作「しめさば」、キャラクター原案・イラスト「ぶーた」、漫画「足立いまる」により、月刊少年エースA 2019年1月号より連載がはじまった作品です。
ひげを剃る。そして女子高生を拾う。2巻 レビュー
主人公はIT企業に勤める26歳の普通の会社員「吉田」。
帰り道で、路上に座り込んでいる女子高生「荻原 沙優(おぎわら さゆ)」と出会う。
沙優は家出少女。お金も働き口もない彼女は、自分の身体を対価として雨風をしのいできた。
吉田はとの生活で平穏で、安らぎのある生活を送れるようになった。
それはもう新妻のような感じで家事全般を行う姿から幸せ感がにじみ出ている。
しかし、過去に犯してきた過ち。好きでもない男性と体を合わせてきた後悔。
今までの男性と違い体を求めない吉田。ここまでしてくれている事に対して、対価を払えていないという後ろめたさ。
家事をすることで払ってきたつもり。でも、吉田に彼女ができたら?異性と一緒に住んでいることはもちろん、唯一恩返しとしてできてきた家事全般さえ不要になる。そうした場合、今の生活、自分の居場所はなくなる。優しい吉田に彼女ができる日はそう遠くないのではないか。そうなった時に自分はまた元の体を対価として寝床を転々としないといけないのだろうか。一度幸せを味わってしまえば、今まで平然とできてきたことはできなくなる。もう以前のその日暮らしの生活に戻るのは難しくなっているようだ。
不安から過去の男性との関係を悪夢としてみて、思い出し悩む日々が続く。
そんな不安はすぐに目前にやってきた。
吉田の部下の三島柚葉。好意を寄せる彼女と吉田が抱き合うシーンを目撃してしまう。
今までにはない感情。女として見てもらえなくてもいい。ダメなら次をまた探せばいい。そう思ってきた沙優の瞳から涙が溢れ出す。
嫉妬という感情。独占したいという一緒に異性と住んでいれば当たり前のような感情。
体を張って抑えていた衝動や感情をぶつける。
そんな不安もお互いの弱点を、本音でさらけだすことで解決ができる。
吉田にとっては、仕事で疲れきって帰宅する、誰もいない静かで冷たい部屋。
そこにうまいご飯、温かいお風呂、笑顔で迎えてくれて、楽しくにぎやかな会話。
居心地のいい場所。それは肉体関係とか以上に、心を満たしてくれていたに違いない。
二人の関係は一歩一歩着実に近づき、心が通い合いはじめている。
原作小説でいけば、漫画版の「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」3巻では、独り立ちする沙優、そして過去の忘れたいコトが再び立ちはだかる。
光が見えてくるとまた闇がくる。それでも二人ならきっと明るい未来を手にすることができるんじゃないかなと思う。
それにしても、原作小説の「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。4」はいつ発売するんでしょうか?
原作を追っかけている身としては、漫画以上にそちらが気になります。