萩原あさ美氏が描く中年サラリーマンと娘の友達の女子高生との、年の差背徳サスペンス漫画『娘の友達 5巻』の感想レビューです。
娘の友達 5巻 あらすじ
抑えられない娘の友達への想い。
その気持ちに、嘘をつくのはもうやめた。
ただひとりの人間として彼女が必要で、彼女の哀しみに気づけているのも、世界中で自分ただひとり。
これが、たんなる性的欲求でも、歪んだ父性の発露でもないことは、もう分かっている。
でも、だからこそ…
自分を取り巻く全ての人たちの、幸せと不幸せの天秤に、どう責任をとればいいのだろうか。
娘の友達 5巻 レビュー
父の晃介と友達の古都が秘密裏に会っていて、好意を持っていることを知った美也は家出をしていた。
宿泊先に訪れた同級生の三崎。チャラい感じながら、美也のことを気に留める。
家庭や学校から逃げている事に嫌気がさしている美也に「いいだろ、逃げたって」と優しい言葉をかける。「お前のオヤジだって如月に逃げたわけだし」という一言多いのは、自分に重なる何かがあるのだろうか?
美也を恋愛対象とみているような素振りはないし、ホテルの部屋に男女が二人きりというシチュエーションであっても手を出さないところから、下心はないようにみえる。この二人の関係がどうなるのかも気になるところ。
一方悪意むき出しなのが、古都の母親。
古都が一人だけ抜け駆けして幸せになるのが嫌なのだろか、外出できないように靴を全て隠してしまうし、晃介とコソコソしているのが気に入らないようで、会社へ女子高生と淫らな行為をしているといった匿名の密告メールを送りつける。
会社へ解雇と謝罪文の発表を迫るなど、人事の知るところとなるが、なんとか誤魔化しギリギリ社会的地位を保っている。
この母親は夫が出張も浮気の言い訳だと狂乱する始末で、完全に病んでいる。
この母親への対応次第で、古都との関係、仕事、家庭の行末が左右されてくる気がする。
一方で、古都と晃介はなかなか良い関係に戻っている。
仕事終わりにバッティングセンターでデート。
母親に靴を隠されて外出を遠回しに禁止されているような状況下にもかかわらず、リスクを負ってまで外出して晃介へ会いにくる。
晃介の胸中は成人になったら付き合うか、ただの良い友達でいるか迷っている。ただ、どちらにしても古都を救いたいという強い思いは揺るいでいない。
しかし、古都は以前、晃介への想いが愛ではないようなこともボソッと呟いている。
古都がどうしたいかは未だに定かではないが、それがわかってしまったら「娘の友達」の面白味が消えてしまうので、古都の胸中がわかるのは最終回付近なんだろうなと思っています。
ただ、古都もじっとはしていない。
出張先の旅館へ突撃訪問してくる強行にでる。
女性の部下の本間が同行していることもわかっていながら、雨の中で傘をささずに小田急ロマンスカーに乗って箱根湯本まで来る。一歩間違えばストーカー的行為にもとれる。
制服をびしょ濡れにして現れたその姿をみて、かけるべき言葉を探す。言葉の選択肢はいくつも浮かぶが、どれも古都を救う言葉ではない。
迷う晃介へ古都は頭をうずめて「迷惑かけて・・・ごめんなさい」と一言。
「私が・・・これから良い子じゃなくなってしまっても、見捨てないでくれますか?」
今までのおこないをみていれば、これはかなり怖いセリフ。
今まで良い子じゃなかったら、これからどうなるのだろうか。
ゾクッとくるような古都の一挙手一投足が本作の醍醐味であり面白さ。
5巻も健在です。
晃介の答えは無言のキス。
一瞬驚くような表情をみせた古都。
男女が抱きしめてキスをしているにもかかわらず、そこには好きという言葉も愛に幸せそうな表情もない。
このへんがカオス。
ただ一緒の布団に横になるだけの二人。
そして古都は自分のことを語り始める。
中学生の古都はごく普通の可愛らしい少女。
今のように常に自分探しをするような、曇った表情はそこにはない。
古都が水族館に通うようになった理由を語りだし、そこに今の人格形成に至る原因があることを知る。
正常じゃない親子関係、晃介の存在は父親なのか恋人なのか。
古都も母親も次の一手が読めない中、晃介は家庭や仕事を守り抜き、古都との関係の選択肢を誤ることなくハッピーエンドを迎えることができるだろうか?
明るい展開がほとんどない漫画なので、ハッピーという言葉は似合わないかもしれない。
それでも晃介が報われて欲しいと願う。
商品概要
- コミック: 192ページ
- 出版社: 講談社
- ISBN-10: 4065204801
- ISBN-13: 978-4065204801
- 発売日: 2020/8/11
- 梱包サイズ: 18.3 x 13.1 x 1.6 cm